自分を客観的に見つめる

「最近の若いものは・・・」と言ったり、思ったりしたことのある人は多いと思います。
しかし、近頃は「最近の年寄りは・・・」と思う人が増えているのではないでしょうか。
事故や事件を起こす人が世代の代表だとは思われたくありませんが、人間は歳をとると頑固になりがち、というのは生物としての性なので、「年配者は頑固で扱いにくい」思われるのはしかたがないのかもしれません。

人は年をとるとなぜ頑固になるのでしょうか。
原因は、前頭葉が衰えるため「理性的な判断がしずらくなる」「感情の抑制が苦手となる」、そして歳をとるほど有能感(自分はなんでもできるという感覚)が高まり、その反面、自分を客観的に見る力(メタ認知力)が低下していくためだそうです。

しかし、しかたがないで済ませたくはありませんね。
それを避けるためには、自分を客観的に見つめる力を高める必要があると思います。メタ認知力が歳とともに衰えるのは鍛えていないからです。体力と同じで、鍛え続ければ、衰えを抑え、逆に高めることができるはずです。
体力作りより楽だと思います。自分の言動を意識的に振り返る習慣をつければよいのです。
次のセルフチェックを心がけてはいかがでしょうか。

メタ認知的活動のセルフチェックリスト

  • 問題解決のための十分な知識を持っているか?
  • 思考が一面的になっていないか?
  • 他人の意見に影響されすぎていないか?
  • 思考が感情に左右されていないか?
  • 自分の立場に不利な思考を遮断していないか?
  • 過去の経験によってつちかった認知パターンにしばられていないか?
  • 権威の言うことに影響されすぎていないか?
  • 自分の思考スキーマにとらわれて、思考が固定化していないか?
  • 考えずに知識で解決使用としていないか?

    (和田秀樹「感情をコントロールして人生をプラスに変える」より)

意識的にというのが難しいんだよね、という人は「セルフトーク」をうまく利用することをおすすめします。セルフトークとは、心の中の独り言です。人は心の中でのつぶやきを一日に4~6万回も行っているのだそうです。無意識のつぶやきも多いのですが、意識的な心のつぶやきを増やすことで、メタ認知力を高めることができます。
例えば、今の言動は周りにどのような影響を与えているか、自分はどう思ってこのような言動をとったのか、次はどうしようかなど、自分の言動を心の中で自己評価すればよいのです。
失言の多い政治家などは、メタ認知力が弱いということなのでしょうね。
そのような人たちと同じに思われないようにしたいものです。

澤木宏文