シニア世代の再出発 ~迷わないための新・ライフデザイン~(4)

“不安を小さく”しながら、自分らしい定年後をつくる方法

 第3回では「定年後にやってはいけないこと」をテーマにお届けしました。
 多くの落とし穴は、実は定年前からゆっくり育ってしまうもの。逆にいえば、定年前の少しの準備で定年後の安心感はぐっと大きくなります。
 今回の第4回では、「どうすれば不安を必要以上に大きくせず、自分らしい選択ができるのか」をテーマに、次の一歩につながるヒントをお伝えします。


■ 1. 「これから何を失うか」ではなく「何を残したいか」を考える

 定年が近づくと、どうしても“失うもの”に意識が向きがちです。
毎日の役割、収入、職場のつながり──。どれも大切にしてきたものだからこそ、心が揺れるのは当然です。
 でも、ここで視点を少し変えるだけで、不安はぐっと軽くなります。

● キーワードは「未来に残したいもの」

 ・健康
 ・自由な時間
 ・続けたい人間関係
 ・生活の安定
 ・やる気が湧く活動

 こうした“自分にとって大切なもの”を軸にすると、選択の基準がシンプルになります。
 たとえば、
 「健康でいたい」→ 無理のない働き方を選ぶ
 「人と話す時間を大切にしたい」→ 接客や地域活動を取り入れる
 「学びたい」→ 趣味や資格取得につなげる
 こうした整理は、定年後の迷いをゆっくりほどいてくれます。


■ 2. 「いきなり大きな決断」をしない

 定年後、とにかく何かしなくてはと焦ってしまう人は少なくありません。
 特に男性に多いのが、「すぐ次の仕事を決めなければ」「何か目標を作らなくては」という“急ぎすぎ問題”。
 しかし、ここで動きすぎると、前回お伝えした「やってはいけないこと」にまっしぐらになってしまう危険も。

● 小さく試す、短く始める

 不安を減らすコツは、スモールスタートです。
 ・週1日の仕事を試す
 ・興味のある講座を1回だけ受けてみる
 ・新しい趣味は道具を最小限で始める
 「動いたこと」で気持ちは軽くなり、「続けられそうか」で方向性が見えてきます。


■ 3. “働く or 働かない”の二択にしない

 定年後はつい、「働くか、働かないか」のどちらかで考えがちです。でも実際には、働き方の幅はとても広がっています。

● こんな“間の選択肢”がある

 ・週2〜3日のパート勤務
 ・体力に合わせた短時間勤務
 ・スキルを活かしたスポット相談
 ・地域活動+軽い収入
 ・フリーランスのような単発仕事
 たとえば、「体力は落ちたけれど、人と話すのは好き」という方は、午前だけの販売サポートや、病院の受付補助などで活躍できます。
 逆に、「一人の時間が好き」「淡々と作業したい」という人は、倉庫作業や清掃などが向いていることも。

● 大切なのは、自分の“心地いい働き方”を探すこと

 定年後は、会社に合わせるのではなく、自分に合わせて選べる時期です。


■ 4. 「定年後の交友関係」を意識して広げておく

 定年後に孤独感を抱える人の多くが、「仕事以外のつながりがほとんどなかった」と感じています。
 急に関係を広げるのは難しいため、定年前から少しずつ“つながりの種”をまいておくことが大切です。

● 具体的にはこんな小さな一歩

 ・趣味サークルをのぞいてみる
 ・地域のイベントに行ってみる
 ・オンラインの学習会に参加してみる
 ・昔の友人に久しぶりに連絡をする
 こうしたつながりは、定年後の生活を大きく支えてくれる財産になります。


■ 5. 不安は「なくす」より「付き合い方」を変える

 完全に不安がなくなる瞬間は、実はありません。
 ただ、不安を“正体のあるもの”にするだけで、扱える不安に変わります。
 たとえば
 「お金が不安」→ 具体的にいくら必要か計算してみる
 「孤独が不安」→ 定期的に会う人を増やす
 「働けるか不安」→ まず短時間で試す
 “ぼんやりした不安”を“確認できる不安”にすることで、気持ちは大きく落ち着いていきます。