「デーサービス・ドライバー日記」(5)
デーサービスのお客様たち②
下村 義邦
デーサービスのお客様たちの第二弾。まだまだこれから沢山紹介します。
◆広島の婆ちゃん
要支援で予防介護の佐藤さん。予防介護の方々は、デーの滞在時間が短く、3時のお茶を飲まれると直ぐに帰り支度をして送る。介護度も低いため、送迎はドライバー一人に任されている。広島の出身で原爆投下のあの日に、たまたま出かけており、助かった話をしてくれた。
私は高校生の時に広島のユースホステルで教えてもらった「原爆の歌」を歌ってあげた所、喜んでいただいた。我ながらよく覚えているものだ。
「故郷の街焼かれ、身寄りの●●した焼け土に、今は白い花咲く。ああ許すまじ原爆を三度許すまじ原爆を、我らの街に」●●の所が解らず歌っていると、次の機会に歌詞を持ってきてくれた。●●の部分は「身寄りの骨埋めし焼け土に」であった。
原爆の歌を聴いたのは、久しぶりだったわ。よく知っていたわねと喜んでくれ、それからは、広島の名物や宮島、お好み焼きの話などでいつも帰りの車の中で楽しく会話をした。
もう一曲、広島名物の歌。
「広島名物、数あれど、山の柿に、海のカキ。山の柿なら柿羊羹。海のカキなら酢ガキでしょ。川にカキ船、日が昇る」
◆そっと渡してくれる「せんべい」や「あめ玉」
デーでは、食べ物の持ち込みは厳禁である。3時のおやつも持ち帰ることは出来ない。衛生面からの措置であろう。
宮城仙台出身のミッツさん。若いころは、水商売もやっており美人ママさんで人気だったそうで、いつもバリバリの東北弁であった。
私のカミさんが福島で、宮城の亘理までヒラメを釣りに行くことを話したのがキッカケで良く話をした。デーサービスでは古株で9年通っているとの事だった。
なかなか気の強い方で、職員からは一目置かれていたが、私は馬が合った。
相手にも通じるようで、車イスを私が押すと、そっとせんべいや飴玉を握らせてくれた。そう婆ちゃんにはモテるのだ。
◆ガンバレ真知子
大きな歩行器を使っている真知子さん。
車に乗る時、移動するとき、トイレに行くとき、必ず自分に言い聞かせるように言う。
「ガンバレ真知子。頑張れ。ガンバレ、ガンバレ」と歩いている。
彼女は、歩行器を相棒に日々、歩けることを継続する努力を続け、自分を叱咤激 励し日常生活を楽しんでいる様子。
そうだ。よし今日も1日ガンバロウ。
★あなたは、お婆ちゃんや近所のおばちゃんたちと会話できますか
サラリーマン出身の多くの方は、年齢を重ねるうちに組織での位置づけも上位となり、組織内でのコミュニケーションの取り方が、上から目線になり勝ち。会社を辞めて地域デビューした際に、そのコミュニケーション・スタイルは全く通用しません。
自己紹介も、どちらの会社で勤め、何をしていたかという風に成りがちで、相手にしてもらえません。名刺の無い自己紹介が出来るように準備しましょう。
ご近所の方々と他愛のないおしゃべりが出来るようにコミュニケーション・スタイルを根底から変える必要があるのです。
自分の好きなことや、得意技(趣味や嗜好)を磨き、ご近所さんとの付き合いを始めれば、相手も楽しい人だと認めてくれます。雇用延長期間にマインドを変えることが重要です。
この項、続きます。
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