「デーサービス・ドライバー日記」(4)
下村 義邦
デーサービスのお客様たち
デーサービスの利用者には、様々なお客さんがいらっしゃる。
お婆ちゃんが7割で、お爺ちゃんが3割。最高年齢は100歳の誕生日を迎えたお婆ちゃんで平均年齢は85歳位だろうと思われる。
ほとんどの方々が痴ほうであり、介護度は、要支援の方~介護3、4と言った重度の方まで様々である。
デーで出会った印象深い人物をエピソードと共に紹介しようと思う。
名前は仮称で記載しています。
◆バンダナのジョー
利用者さんの名前を覚えるのは、道を覚える次に求められる。
担当する車に乗るお客さんは、なんとか覚えられるが、ほかの車に乗っている方々の名前を覚えるのは、ゲームの支援を行いながら、一人一人のお名前と得点を白板に書いては、特徴を捉え、名前と一致させるようにしていた。
バンダナのジョーは、車いす利用の一人で、いつも頭にバンダナを巻いているので、一目で覚えてしまったお爺ちゃんであった。
いつもお孫さんが、巻いてくれるようでバンダナは、彼にとっても一番のお気に入りの様子。風呂上りにも、ちゃんと職員が巻いてあげているので、解りやすく一番に覚えた人物であった。
いつもニコニコとし、足元は悪いものの、お話はしっかりしており痴ほうは進んでいない様子であった。
◆上村テル子でございます
テル子さんは、私たちが立っている直ぐそばのテーブルに、いつも座っており目が合うとスッと立ち上がり、「上村テル子でございます。主人に会えないのですが、どうしたらよいでしょうか」と聞かれる。
こちらは、「ご主人は家で待ってますよ。夕方になれば、お家に送りますから、ゆっくりお過ごしください」と伝えると安心した笑顔で、「そうですか主人は家に居るのね。夕方には、.家に送ってくださるのね、ありがとう」と言って座る。
これを10分ごとに繰り返される。なんども問われるので何度でも回答していたが、テーブルには、テル子さん専用の立て札があって、そこには家でご主人が待っていること。夕方4時になれば、車でご自宅まで送ることが書いてあり、スタッフの皆さんは、慣れたもので「はい。これを読んでね」で対応されていた。
◆あなたラブラブね
テル子さんの隣には、天敵とも言える婆ちゃんがいた。車イスの山田さんである。
「あなた、ご主人が居るのね。いいわね。愛しているのね。ラブラブね。」と言うとテル子さんは、照れながらも「長く一緒に居るものですから・・」すると山田さんは、「ご主人のこと好きなんでしょ」するとテル子さんは、かわいい声で「はい」と答える。
ここにきているお婆ちゃん達は、多くが主人に先立たれ、子供世帯と一緒か独居である方が多い。
二人とも、言ったことを忘れるのか、延々と繰り返される会話に思わず微笑んでしまうのである。
★認知症予防
「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを言います。加齢による物忘れは、一部を忘れる状態(先月食事に行ったが、人の名前や店の名前などが出てこない)、認知症の物忘れは、自分の体験の全てを忘れてしまう。多くは、物忘れに対しての自覚がない。物忘れの頻度や程度がひどい場合は、要注意です。
自分の物忘れがどの程度なのか、自分で調べてみてください。
1. 貴方は何歳ですか。
2. 今日は何月何日何曜日ですか。
3. 今の季節は。
4. 今日の朝食は何を食べましたか。
5. いま、貴方は何処にいますか。
6. どのようなものでもよいのですが、3つのものを頭に浮かべてください。
例えば サクラ 猫 電車
その言葉を1分後に思い出してください。
7. 100から7を引く計算を暗算してください。答えから次々に7を3回引いてください。
8. 4桁の数字を頭にならべてください。その数字を後ろから順に言ってください。
9. 貴方の知っている野菜の名前を1分以内に10個挙げてください。
10. で思い浮かべたものの名前をもう一度言ってみてください。
3つ以上忘れていたら、要注意です。
この項、続きます。
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