「デーサービス・ドライバー日記」(10)

その気になれば、なんでも出来る

 私は、定年後雇用延長をせずに、起業した。しかし、なかなか軌道に乗せるのは難しく、デーサービスのドライバーもやってみたが、探せばシニア向けの求人もまだまだあるようだ。 
 70歳を過ぎても元気に働いていらっしゃる方々は、そうは多くは無いかも知れないが、ちょっと見渡せば現役バリバリの70代も居る。
 サラリーマンの場合、永く勤めていれば一定以上の年金もあり、老後に+αで必要な金額として2千万問題が提起され物議を交わされたが、月額5万か10万を稼ぐには、職種はなんでも良いのではないか。
 今回で区切りの10回目、長く働けるコツを書いてみたい。

◆趣味嗜好を楽しむこと

 何のために働き続けるのか?もちろん生活のためだけど、好きなことを長く続け楽しく人生を過ごすためであろう。そのためには余裕のある資金も少しは必要だ。
 そのためにも元気なうちは働こう。
 自分はこれがやりたいからと目的を持って働くことでモチベーションに繋がる。
 生活にリズムが出来る。仕事は何をやっても良いではないか。
 一生付き合える趣味を持つことは最重要なポイントだろう。
 夫婦で楽しめるなら、なお良いし、同好の士が集えばもっと楽しくなる。
 コロナ自粛で皆さん、家に籠る生活を余儀なくされ、みなさんが息苦しさを身をもって感じた筈だ。
 その中でも、新たな発見をされた方も多い。私の周りで大流行りなのが自宅近くの散歩である。足を伸ばす場所に意味を見出すと一気に楽しくなる。
 近所の名所、旧跡など行ったこともなかった場所に足を運び、目的をもって散歩すると楽しい。屋外でもあり、蜜にはなりにくい。
 私の場合は、多摩丘陵の旧跡として横山の道を歩いている。万葉集に”多摩の横山”と詠われた多摩丘陵の尾根筋の道である。相模国府と武蔵国府を結ぶ古代東海道の道。 鎌倉古道、奥州古道など、何本もの古街道が交差する歴史の道。
 いろいろ調べてみると楽しくなる。
 本来の趣味である沖釣りは、このところ、ちょっと遠慮しているが釣りは楽しい。
 日程を決めると、仕掛けを作ったり、釣り場の状況を調べたり、旬の魚の料理を考えたり、仲間に案内をしたりとワクワクが続く。
 さぁ外へ出よう。仲間に会おう。笑顔を咲かそう。

◆Un sung Hero

 昨年ラグビーワールドカップが日本で開催され、にわかファンで大いに盛り上がった。私もその一人で、ラグビーが一気に好きになった。
 なかでもフォワードのプロップ、つぶされても、つぶされても立ちあがり、ただひたすら相手とぶつかっていくシンプルな役割。相手が巨漢の誰であろうとぶつかる。でもその後ろには仲間が必ず続いてサポートする。だから仲間を信頼して突っ込んでいく。ほとんど得点に絡むことのない縁の下の力持ちだが、笑わない男、稲垣がやってくれましたね。
 雇用延長者はアンサングヒーローに成れ。定年を過ぎ、雇用延長期間に入った方々に申し上げたいのは、適当な形で枯れなさいと言う事。
 いつまでも、上に立ちたがり指示命令したがるのは、ウザイだけです。
 この若い衆はモノになりそうだと思ったら、とことん付き合ってやってはどうか。
 目線を同じにして、ちょっとしたヒントを与え見守る。
 若い上司には、自信を持たせることが重要だ。失敗は成功の母とも言うが、へたをすると痛みが伴い、逃げる姿勢を身に付けてしまうかもしれない。
 その点、成功体験をちょっとづつ積ませ、なぜ上手くいったのかを考えさせるように仕向ければ、どんどん成長する。
 例えば、貴方が定年を迎え、雇用延長に入って新たなプロジェクトに入ったとしよう。そこには、貴方よりずっと若いプロジェクト・リーダーが居る。
 貴方は、どういう位置に立ち、どんな役割を担うべきか考えてみて欲しい。
 私は目標管理アドバイザーという役割を提案したい。
 プロジェクトのリーダーは、スキルも高く優秀ではあろうが、プレイヤーに成りがちでチーム力を発揮させることが出来ないリーダーが多いと思う。
 そんな時、チームメンバーをよく観察し、目標の設定やフォローが出来ているのか
 役割付けは上手く行っているのか、プロジェクトへの参画意識はどうか、比較的ニュートラルな位置づけに置かれた貴方が、チームメンバーを観察する役割を担い、随時プロジェクト・リーダーと話し合いながら、助言を与えれば良いと思う。
 決して表には立たず、声なき声を伝える役割に徹すれば、貴方の培った経験が活かされ、リーダーの力量も上がり、チームのパフォーマンスも上がる。
 なにより、あなた自身のコミュニケーション・スタイルが変わり、これから始まる第二社会人への準備に繋がるのです。
 雇用延長期間は5年間、決して短くはない。この期間を有効に使おう。