「デーサービス・ドライバー日記」(7)

下村 義邦

デーサービスのお客様たち④

 デーサービスのお客様たちの第四弾。
 夫婦の物語を少し紹介しよう。

◆仲良きかな団地の夫婦

 利用者さんの多くは、だんな様に先立たれたお婆ちゃんが多いが、夫婦とも健在で片方がデーのお世話になる方も、いらっしゃる。大概は旦那がデー通いで奥さんが見送りというパターンである。
 足腰も達者で、一見健常者と何も変わらない河原さん。迎えに行くと、いつも先に出て待っておられる。車を見つけると、さっさと歩いて近寄り、ご乗車される。
 寡黙な方で、乗車してシートベルトも全部自分でやってしまう。
 隣には優しく見送るお婆ちゃんが、必ずいる。手にはホウキと塵取りを持って、団地の玄関周りを掃除しながら、ご主人を見守っているようだ。
 その奥さんはドライバーに優しく挨拶をし、いつもお世話になります下村大臣とおっしゃる。帰りの際も同様で、大概外に出てお迎えされる。
 そしてニコニコとされながら、下村大臣、今日もありがとうと言ってくださる。

◆夫婦そろってショートステイ

 ショートステイ利用の中川夫妻。月に1度は必ずご利用される。
 旦那は車イスで奥さんは、足腰達者な方である。
 いつも大きなバックと専用の座椅子を持参され2泊3日程度の滞在で、よく見るとお酒やジュースがごっそり持ち込まれる。
 二人仲良く、お酒とジュースで語り合っているのだろうか。
 息子夫婦にとっては、二人のお世話は大変であろう。月に一度、親夫婦にショートステイに行ってもらうのが唯一気の休まる時なのかも知れない。
 利用さんの家族には、息子一人で両親を介護している方もいらっしゃる。
 介護に追われ、仕事も出来ない様子だ。年老いた両親を抱え、仕事もままならず苦しんでいらっしゃるのだろう。毎日送迎していると息子さんしか居ないような家族に、少なからず出くわす。介護は家族にとって大きな障害であり、健常な家族の心のケアも大きな課題である。

◆先生ダメでしょ

 利用者さんの中には、むかし教職員であった方も多い。
 井上さんも中学校の教員であったそうな。
 家が近づくとシートベルトを外す音がカシャと鳴る。すかさず添乗が先生ダメでしょ。ルールは守りましょうねと言って、再度ベルトを付ける。
 職員にはにこやかに振る舞われる方であるが、身内の奥さんには相当な亭主関白な方のようで、奥さんには非常に厳しい。厳格なオヤジさんだ。
 かいがいしく接しておられる奥さんは、お疲れの様子であるが、いつも化粧を欠かさず服装も身ぎれいにしておられる。
 厳格な亭主を支え、面倒をみる日本のお母さんがそこに居る。ある意味高齢者夫婦の典型的な姿である。
 私も奥さんに見放されないよう今から、よいしょしておかなければならんと肝に命じている。

★家族マネジメント

5

  多分、どこのご家庭も旦那の方が先に、あっちへ行くだろう。
 奥さんとの関係は、皆さんどうですか?
 夫婦関係を再構築しておかなければ、痛い目にあいますよ。
 仕事を離れた途端、奥さんには旦那の存在が疎ましく映るらしい。何故だろう?
 いつも家に居て、何もしない亭主。奥さんは、何処にも行けず、朝、昼、夜と三度の食事を用意し自分の時間が取れない。旦那はストレッサーになっているのだ。子供は、それぞれ独立し二人だけの生活が来る。
 貴方は、どんな準備をしていますか。家事のひとつも出来るように準備をすべきです。
 奥さんが、たまには女子会に出かけても、「いいよ。大丈夫適当に何か作って食べるから。どうぞゆっくりしておいで。」
 ついでに夜も食事を作ったら、どんなに喜ばれるか。さあー今からでも遅くない。
 家事の一つも出来るように準備しましょう。
 一緒にできる趣味を持つのも良いね。二人で月に一度は何をするか?
 二人とも楽しめることを探しておくことも大事なこと。あまり費用を掛けず、永く続けられるものを探しておきましょう。