「デーサービス・ドライバー日記」(8)

プロの面々

 センターを支えているのは、プロのヘルパーさん達である。彼らの多くは未経験からの出発で、アルバイト契約から始められている方も多いようだ。
 当然求められているスキルは介護士としての仕事だから、それなりのスキルを身に付ける研修なども受講され、初級ヘルパー資格や上級の資格までもお持ちの方もいらっしゃる。 
 今回はセンターで働くスタッフ側の話を紹介しよう。

◆シルバーグレーのセンター長

 デーセンターのトップは、頭を染めない自然なシルバーグレーの女性で、そのヘアスタイルが似合っている。仕事がらセンターの責任者であり、管理者として厳しい顔を見せてはいるが、車に一緒に乗ってくる(普段は相談員としてお客様対応しているが、ヘルパーの手が足らない時など添乗する)と会話も面白く、チャーミングな素顔を見せてくれる。キリッとしたベッピンさんです。
 私には無かったのですが、先輩ドライバーに聞いたところ、1ヶ月経過時に利用者さんの名前と顔が一致しているか、突然テストがあるから気を付けろと言われていた。レクの手伝いなどで利用者さんの名前を覚えるようにしていたが、平均年齢が上がれば皆、同じに見え、よく似ている。いつテストされるかとビクビクしていたが結局、私には無かったなぁ。お目こぼし、お気に入り?お世話になりました。ありがとう。

◆相談員は、なんでも屋

 デーには生活相談員という役割がある。利用者さんの相談を受けるのが主な仕事であるが、契約、介護計画書作成、ケアマネージャーとの連絡調整、モニタリング報告、担当者会議、営業、地域連携など、その業務は多岐にわたる。
 デーサービスの要の仕事だ。営業マンの顔も持つ小杉さん。
 どうやって利用者を増やすか?いつも頭を悩ましている。いろいろ営業策を考え、麻雀をやることを考えたそうな。麻雀は、実に頭を使う。ボケには最適なゲームであり男性利用者には、麻雀ができるならと通っていらっしゃる方も少なくない。
 始めは、周りの職員からも、麻雀で3人だけ相手するのは非効率、もっとやってほしいことは沢山あるのにと嫌味を言われながら、顧客を開拓してきた。ところがコロナである。3蜜になる麻雀は禁止の憂き目にあい、楽しみにしていた利用者はこなくなちゃった。さて、どうする?3蜜を防ぐ方法を考え出した。
 デカイ、テーブルを用意し、間隔を空け一人で、配牌を行い、ゲームを成立させることで施設長の了解を得て、麻雀好きな顧客を取り返した。すごいぞ小杉。

◆さすがプロフェッショナル

 デー最古参の一人、深尾さん。
 みんなが嫌がるお客さんを見事に操る。きめ細やかな心遣いと仕事を楽しむ志の高いプロフェッショナルだ。
 ある日、新しい利用者さんが入ってきた。この方は、家族の勧めもありシブシブデー通いを始めた様子で、文句ばかり言っている、かなりのクレーマであった。
 送迎時に、乗り合わせたお客さんにも大きな声でクレームを入れるので迷惑をかけてしまう。そこで深尾さん、クレーム婆さんの文句が始まると、すかさず声掛けし、質問を繰り出す。尾野さんの家は、この先をどっちに曲がるの?単純な質問だが、相手はその質問に答えようと思案し、怒りを忘れてしまう。質問を繰り返すことで、思考をそちらに向けてしまえば、納まるのだ。
 凄いね。と伝えると「だって、いろんな人に対応するの面白いでしょ」とサラリ。
 彼女からは、ドライバーの私にもThankyous Cardを何枚もいただいた。
 流石です深尾さん。お世話になりました。

◆まるちゃん

 まるちゃんは、ふくよかな体形もそうなんだけど、その可愛らしさで漫画のマルちゃんを彷彿とさせるので、私はまるちゃんと呼ぶ。
 二人の子供を育て上げ、下の子も今春大学へ入ったと報告してくれた。頑張るシングルマザーである。
 彼女は、お客様とのコミュニケーションが実に上手い。先に紹介した資産家の山崎さんは、気難しい方で他のヘルパーの言うことは聞かないが、まるちゃんは、お気に入りでニコニコと対応される。
 下の子は今春から大学生でお金も掛かる、心配してお話すると奨学金を借りてるそうで、子供には卒業するまでにかなりな借金を背負わせてしまう。本当に良いのか悩んだそうな。ガンバレまるちゃん応援してるよ。

★長く働くと言うこと

 介護士として働いている方々を紹介したが、彼らは勉強も良くしている。
 身銭を切って、自己投資し備えている。
 社会貢献と働く喜びが得られることがポイントなんだろう。
 世の中には、いろんな資格・免許を学び取得できる場がある。
 通信教育や実際の現場で学ぶもの、直接免許取得に行くもよし、教習所的な所に通うのも良い。
 思い立ったら準備をすることが重要だ。
 ワークライフナビでは、第二社会人講座カリキュラムを開発している。
 第二社会人とは、長年勤めた企業・団体を離れ第二のスタートを切る方々を称して第二社会人と位置づけ、健康寿命と言われる75歳頃までは、一定の糧を得ながらイキイキと自分の選んだ道を歩んで行こうというものだ。
 それには、ちょっとしたコツがある。第二社会人基礎講座は、イキイキと活躍するためのノウハウやヒント、文字通り第二の社会人として出発するためのスキルを学ぶ講座だ。
 定年後に継続雇用でまだ勤めている諸兄、今からでも遅くはない、何をやってみたいか、何が出来そうかを早めに考え行動に移そう。