65歳はターニングポイント
65歳はターニングポイント(同期会に行って考えてみたこと)
下村 義邦
・同期会に参加
先日、同期会があり、参加してきた。乾杯の後、近況報告。みんなが口にするのが、「これからどうしよう」と言う話題であった。
定年後の5年間を過ごし、いよいよ会社組織から卒業する年齢に達する訳で、今まで会社組織の一員として仕事、終業後の飲み会と常に内輪の関係で同じ組織内で過ごしてきた人が大半で、土日はたまのゴルフでも同じ顔ぶれが多かった筈、この関係から抜けてしまうと一体どう時間を過ごすのだろう。時間を持て余すのは目に見えていることから、「これからどうしよう」という言葉である。 我々77年入社組は、年1回は定期的に集まっており仲の良い同期入社組だ。年数回に数を増やし、交流を増やそうと言うことで落ち着いているが、やはり必要なのはキョウイク(今日、行くところがある)とキョウヨウ(今日、用事がある)になりそうだ。
・毎日が大型連休となれば、さて何をして過ごすか
趣味に時間を使う?と言っても毎日はできまい。カミさんと旅行?たまには付き合ってくれても、女子会の方が良いわと逃げられるに決まっている。
そうすると、やはりもう少し働きたいとなるのだろう。
その時、あなたは何が出来ますか。その準備は出来ていますかと問うと大方の人が何も準備していないのが、現状である。定年を迎え、漠然と不安がっていたが未だ5年間の雇用延長期間があり、目の前にしない限り準備が出来ないのが世の常なんですね。
チコちゃんではないが「ボーっと過ごしてるんじゃねーよ」と叱られても、もう遅いか。
・企業側の対応
企業側では、会社組織を離れる準備の大切さを、定年前研修などで少しは訴えるものの、内容が健康やお金の話と定年後の働き方の人事説明で終わってしまう。
当事者のマインドを変えるに至っていないのが現状なのであろうと想像される。
何の準備もしてこなかった本人も悪いが会社側も、もう少し支援の手を差し伸べては如何であろうかと思う。定年前研修だけで終わってしまっては、マインドまでは変えられまい。
各企業のお話を伺うとシニア、特に定年後に雇用延長期間に入った社員のモチベーション低下、ひいては生産性の低下を問題視していることが伺える。
一方、当事者側に言わせると、給料半減、いったん退職して役職を奪われたのちに「ヒラ社員」として、働く環境は大きく変わる。気まずそうな顔をして席に着く光景が想像できる。こんな環境に勤務するシニア社員のモチベーションを維持するのは難しいと言わざるを得ないだろう。
・では、どうするか
モチベーションがダダ滑りする中、まずは定年前の研修を見直すことが求められると思う。
私の仲間の研修講師は、キャリア研修をここ数年担当しており、企業の対応は様々ではあるが30代、40代で研修を始める会社もあるそうだ。
「60歳直前になってからじゃ遅いよ。もっと早くやってほしい」という受講者の声はよく聞く話だが、30代で実施しても同様の声が上がるそうだ。今後のキャリアを考える上で、現役のうちに何を強みにし、どう活かすかを考え、将来に備えることは重要だ。早ければ早いほど良いと言う訳だが、実際の行動に表れなければ、あまり意味がない。
出来ればカウンセリング体制を整え、キャリアを積んでいくことを考えさせれば、行動が変わってくるのではないか。研修実施と同時に行動へ駆り立てる仕組み(キャリアカウンセリングや副業認可など)の両輪を回すことが重要である。
60歳でも遅くはない。要は65歳になった時に、それなりの心の準備と自分のやりたいことへの準備を整えられているかが大事。シニアに対して投資する企業は、残念ながら少ないが、モチベーションや生産性の低下はボディブローのように効いてくる。
60歳になったら始める研修があっても良いと思う。残り5年間をどう過ごすのか、会社はどんな支援を組み立てるか。次の世代のミドルも、若い世代も見ている。
ほんの少しシニアへお金を使って、シニアに65歳からのことを考えさせ、準備させるようにすれば、モチベーションを維持することが出来る。シニアに限らず全世代へ波及するはずと思うがどうだろう。
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